絵本について話したい

元小学校教員、6歳娘・3歳息子の母、専業主婦、絵本と小説が好きです

読書感想文これを読めば書ける!書き方のコツを元小学校の先生が教えます

こんにちは。

元小学校教員で2児の母、河西です。

当ブログでは、子供たちと読んだオススメの絵本、教員としての経験や日々の育児から得た教育・育児に役立つことについて、ご紹介していきます。

今回ご紹介したいのは、読書感想文の書き方です。

読書感想文は夏休みの宿題になっているという学校も多いですよね。

しかし、何の指導もせずに子供に感想文を書かせようとすると、1文も書けない…なんてことも少なくありません。

読書感想文には「書き方」があります。

これを押さえれば、形の整った文章で規定の枚数分原稿用紙を埋めることが可能です!

夏休み前に、ぜひご一読ください。

 

 

まずはこれを押さえて!読書感想文のコツ3つ

読書感想文を書くコツは以下の3つです。

①本選び
②段落構成を知る
③書くことを絞って膨らませる

①本選び

まず、読書感想文を書く上で本選びは一番重要です!

子供に「この本どうだった?」と聞いたときに「おもしろかった」の一言で終わってしまう本では書けません。

読書感想文は本の「感想」を書くもの。

その本を好きかどうかはともかく、「ここが〇〇で、△△なんだけど、私は…」と子供が感想をたくさん語れる本であることが大切です。

したがって、読む前から「この本で書こう」と決めるのはNG。

読書感想文が夏休みの宿題になっているならば、目ぼしい本数冊を用意して、とにかく早く読み始めてください!

「夏休み中に読んだ本の中で」という規定がなく、語れる本が既にあるならば、それで書くことをオススメします。

後述しますが、読書感想文を書くには最低2回は読まなければなりません。

既に読んだ本ならば、その1回を省けます。

書きたい本がないならば、とにかく早く数冊読み始めましょう。

 

②段落構成を知る

読書感想文は以下の段落構成を知っていれば、最低限体裁の整ったものになります。

1.はじめに
2.あらすじ
3.心に残ったこと
4.本を読んで変わったこと・改めて思ったこと
5.まとめ
 

③書くことを絞って膨らませる

書きたいことを1つか2つに絞って、感想を膨らませましょう。

書く準備のために本を読み返していると、小さな感動や驚きを全て拾ってしまい、書くことが多くなりすぎてしまうのはよくあること。

まとまりのない文章になってしまいます。

書きたいことを絞り、1つか2つのことについて熱く語る文章に仕上げましょう。

 

以上3つのコツを押さえた上で、ここからは読書感想文を書く手順に沿って、書き方を丁寧にお伝えしていきます。

 

1.読書感想文を書きやすい本・書きづらい本

読書感想文を書くための本を選ぶ基準として一番大切なことは、子供が本について多くを語れることです。

では、どのような本ならば子供に多くの感想をもたせ、語らせることができるのでしょうか。

それは、テーマ性のある本。

友情、家族愛、不屈の心、環境問題、人権、戦争など、強いテーマ性のある本は、自分や自分の置かれる環境との比較をしやすいこともあり、感想を引き出しやすいです。

では、テーマ性のある本をどうやって選ぶかというと、やはり課題図書・推薦図書と呼ばれる本の中から選ぶのが良いでしょう。

▼こちらのサイトで紹介されている本は、全てテーマがわかりやすく設定されている作品なので、まだ本を読み始めていないという場合はこの中から数冊選んでみてはいかがでしょうか。

www.dokusyokansoubun.jp

反対に、読書感想文を書くのに適さない(とまでは言いませんが、オススメできない)作品もあります。

・図鑑
・推理もの
・ホラー
・短編集
 
図鑑はあらすじがなく、段落構成からしっかり考えなければならないので、文章を書くのが得意でない場合は避けた方が無難。
推理ものは、感想が「すごい」だけになってしまったり、その「すごい」の理由を話すためにトリックの説明が長くなりすぎる可能性が高いです。
ホラーも感想を引き出しづらいので同様。
(推理もの・ホラー共に、事件の背景にある人間性などに惹かれるといった場合は書ける場合もあるので、子供の話をよく聞いてみてください)
短編集は、全ての話について感想を書くのは現実的ではありません。
かといって、一つの話に絞ると本自体の文量が少なくなるので、熱く語れるほどに感想を抱けない可能性があります。
推理、ホラー、図鑑は子供の好きなジャンルと言えるでしょう。
しかし、読書感想文は好きな本なら書きやすいというものでもないのです。
 

2.読み直し→心が動いたポイントの洗い出し→書くことを絞って膨らませる

本を数冊読んで感想文を書く本を選ぶことができたら、次はその本をもう一度読みましょう。

 

心が動いたポイントの洗い出し

1回目は本を選ぶため、2回目は「心が動いたポイントを洗い出すため」に読みましょう。

心が動いたポイントを洗い出すためには、付箋の活用がオススメ!

ピンク:楽しい、嬉しい、面白いなどの明るい気持ちになった所
青:悲しい、辛い、怖いなどの暗い気持ちになった所
緑:共感できないと思った所
白:言葉の意味などがわからないところ
上記のような基準で付箋を色分けし、心が動いた箇所に貼っていきます。
低学年は貼るだけでもOK。
中学年以降は、その色にした理由を付箋に簡単にメモして貼りましょう。
2回目を読み終え、付箋を貼り終えた時点で白付箋の疑問は解消しておきます。
 

書くことを絞る

貼った付箋を吟味し、書くことを1つか2つに絞ります。
ここでも「語れる」ということが大切。
貼った付箋の中から、子供が一番感想を話せる箇所を選びましょう。
案外、緑付箋の「共感できない」も子供の感想を引き出せます。
しっかり親子で読書感想文に取り組もうという場合には、本についてたくさん話し合いましょう。
話し合ったことは子供の感想をふくらませることにつながり、そのまま感想文に活かすことができます。
親御さんも、子供が選んだ本をぜひ一度読んでくださいね。
 

感想を膨らませる

心に残ったことを1つか2つに絞ったら、感想を膨らませます。
「すごい」「悲しい」の一言で終わってしまっては、文字数を稼げません。
では、感想を膨らませるにはどうすれば良いかというと、自分との比較です。
多くの場合、心に残る場面は自分と比較する中で印象に残っていることが多いと考えられます。
・自分なら〇〇なんてできないから、勇敢だと思う。
・自分もこの人物と同じことを思うから、すごく共感できた。
・〇〇するなんて信じられない。自分ならこうするのに。
・自分と同じ年の子なのに、こんなに辛い境遇にあることが悲しい。
このように、なぜすごいのか、なぜ悲しいのかを自分と比較することで掘り下げていくことができます。
感想を膨らませる作業の時は、実際に文章を書く時の材料にするために、大人が簡単にメモをとるのがオススメです。
 

3.書く

ここからは、実際に文章を書く際のポイントをご紹介します。
 

下書き必須|原稿用紙をたっぷり用意して

書く内容が固まったとしても、必ず下書きをしましょう。

思っていたよりも文章が長すぎたり短すぎたりした、読み返したら変だったという時、いきなり清書していた場合全て最初から書き直しです。

そうなるよりは、きちんと下書き・推敲してから書く方がダメージは少なく済むでしょう。

下書き・推敲では以下のポイントを押さえましょう。

下書き:段落ごとに原稿用紙を変える
推敲:赤ペンで下書きに直接書き込み
下書きは段落ごとに原稿用紙を変えます。
推敲しやすくなるからです。
文字数のカウントもしやすくなります。
そのために、学校から渡される原稿用紙以外に家庭で1セットは用紙を用意してあげると良いでしょう。
また、タイピングが得意なお子さんは、ワープロソフトで下書きしてしまうというのも手です。
文字数カウントも一発。
段落ごとに読み返し、書き直す箇所は赤ペンで修正を入れていきます。
内容・文字数ともにOKであれば、学校から渡された用紙に清書しましょう。
 

内容・例文

書くこともほぼ決まり、さあ書こうという段になって、1文目をどう書き出したらよいかわからないということはよくあるものです。

ここでは、各段落で書くべき内容や書き出しの例をご紹介します。

1.はじめに

読書感想文は書き出しに最も苦戦するのではないでしょうか。

実は書き出しで書くことは、段落構成3・4の「心に残ったこと」と「本を読んで変わったこと・改めて思ったこと」と同じ内容で良いのです。

◆本を選んだ理由型
例:私がこの本を選んだのは、主人公の行動にとても驚いたからです。自分の危険を顧みずに鬼退治という危険に挑む主人公は、すごいと思いました。
◆自分の気持ち型
例:私は「勇気」や「勇敢さ」というものが、どういうものかわかりませんでした。でも、「桃太郎」を読んで、それがどういうことか少しわかった気がします。
◆本文引用型
例:「鬼退治に行きたい」これは、私が選んだ「桃太郎」という本の主人公、桃太郎のセリフです。桃太郎は危険を顧みず、勇敢に鬼退治に出かけたのです。 など
この段落はだいたい全体の文量の1割程度で大丈夫。
2.あらすじ

選んだ本をネット検索すると、あらすじが書かれています。

当たり前ですがコピペはNG。

あらすじを読みながら書いてしまうとほぼコピペになってしまうので、どの程度まで書いているのか確認するにとどめ、自分の言葉でまとめるようにしましょう。

あらすじは長くなってしまいがちなので、全体の文量の2割程度に収まるようにしてください。

3.心に残ったこと
「3.心に残ったこと」は、膨らませた感想を自分と比較する形で書いていきましょう。
すると、「4.本を読んで変わったこと・改めて思ったこと」も書きやすくなります。
4.本を読んで変わったこと・改めて思ったこと
「3.心に残ったこと」で紹介した部分を読んで、自分はどう変わったか・改めてどう思ったかを書きます。
▼文例
私は、自分と無関係の人たちのために勇敢に戦う桃太郎に驚きました。
本当の勇敢さとは、誰かのために頑張ることなのかなと気づきました。
だから、私も桃太郎のように誰かのために頑張ります。
3,4段落が読書感想文において大切です。
3,4段落合わせて全体の6割程の文量になるのが理想的でしょう。
5.まとめ

まとめでは、この本を読んで良かったのか、この本を好きかどうか、どんな人にオススメかといったことで締めくくると、うまく文章を終えることができます。

▼文例

私は「(題名)」を読んで良かったです。
今まで自分になかった勇敢さに気づくことができたからです。
私のように勇敢さが何かに悩んだり、勇気を出せなかったりする人にぜひ読んでほしいと思います。
終わりの部分なので、全体の1割程度でさらっと終えてしまって大丈夫です。
 

まとめ

  • 読書感想文を書く上で一番大切なポイントは、本選び、段落構成を知る、書くことを絞って膨らませるの3点。
  • 「子供が語れる本」を選ぶことが一番大切。テーマ性のある本がオススメ。「好き」な本で書けるとは限らない。
  • 感想は自分との比較の中で膨らむ。感想を膨らませるには、親子でその本について会話することが活かされる。
  • 必ず下書きを。下書きの際は段落ごとに原稿用紙を変えましょう。

夏休みの宿題になっていることが多い読書感想文。

せめて、整った構成で規定の文量をしっかり埋めたいものですよね。

読書感想文は、読まなければなりません。

だから、時間がかかります。

できれば夏休み開始を待たずに読み始め、文章作成にじっくり取り組む時間をとれるようにしましょう。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。