絵本について話したい

元小学校教員、6歳娘・3歳息子の母、専業主婦、絵本と小説が好きです

絵本レビュー「あんなにあんなに」

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大人向けの絵本です。

全ての「親」にオススメします。

 

1.あんなにあんなに

▼なんと、現在youtubeで「全文公開ムービー」が公開中です。

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タイトル あんなにあんなに
発行年 2021年
作者 ヨシタケシンスケ
出版社 株式会社ポプラ社
本のサイズ 15.3×21.7cm
ページ数 47ページ
対象年齢
(公式なものではなく、私の感覚です)
大人向き
オススメ度 ★★★★☆

 

2.あらすじ・内容

物語ではありません。

「あんなに〇〇だったのに」「もうこんな」

このフレーズを繰り返して、お母さんの目線で子供の様子を表していきます。

「あんなに欲しがってたおもちゃなのに、買ったらもう見向きもしてない」

「あんなに笑ってたと思ったのに、もうこんなに泣いてる」

親なら誰もが経験のあるような、子供の様子を描いています。

 

そして、文章はほぼこの2つのフレーズしか使っていない中で、ページを進むごとに、子供の成長を表現していきます。

「あんなに泣き虫だったのに、部屋に入るななんて言う」

「あんなにブカブカだった大人物のジャケットが、もうピッタリ」

時が経つにつれ、「あんなに」と「もうこんな」の間に「時の流れ」ができるようになります。

大きくなった子供を前にお母さんが「あんなにあんなにいろいろあった」と回顧するのです。

 

3.どの世代にも刺さる!親泣かせ絵本

この作品は絵本でありながら、完全に親向けと言えます。

そして、この絵本の驚きのポイントは、親ならどの世代の方にも刺さるという点です。

小さな子供の親

目の前の子供の様子を、絵本の中の子供を比べ「わかるわかる」と頷けます

「あんなにきれいにしたのに、もうこんなに散らかっている」や「あんなにお腹すいたって言ったのに、全然ご飯食べてない」といった描写に、共感し通しです。

そして、こんなに手がかかり、親にべったりなこの子にも、いつか「部屋に勝手に入るな」なんて言われる日がくるのか…と思うと切なく、大変だけど可愛くて仕方がない今の貴重さに気づかされます。

 

思春期以降の子供の親

小さな子供のいる親の共感を呼ぶ絵本は、他にも色々あります。

しかし、この絵本は驚くことに思春期以降、成人した子供がいるという方も「泣ける」というのです。

我が子が大人になっているという方々には、「あんなに〇〇だったのに」という我が子との思い出がたくさんあります。

普段大人になった我が子を前に、思い出すことのないそのたくさんの愛おしい思い出が、この絵本によって思い起こされるのです。

子供は目の前にいても、かけがえのない、もう戻らない貴重な時間の存在に気づかされます。

 

▼簡単に読めるので、立ち読みで泣いてしまう方続出です。

 

▼さらに、「みんなでつくる”あんなにあんなにフォトムービー」として、一般の方々の「あんなにあんなに」フォトで構成されたムービーも公開されています。

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自分の子でもやってみたくなりますね。

 

私自身、この記事を書くために読み返していましたが、もう何度目か…またしても涙してしまいました。

この本は、子供が成長していくどの段階にあっても、どこか自分と子供に重なるところがあり、ずっと手元に置いておきたくなります。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。