絵本について話したい

元小学校教員、6歳娘・3歳息子の母、専業主婦、絵本と小説が好きです

絵本レビュー「えらぶえほん」

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私の最もお気に入りの絵本です。

 

1.えらぶえほん

 

 

タイトル えらぶえほん
発行年 初版 2019年
作者 絵:ニック・シャラット 文:ピッパ・グッドハート
訳:聞かせ屋。けいたろう
出版社 株式会社 講談社
本のサイズ 約27.5×24cm 
ページ数 25ページ
対象年齢
(公式なものではなく、私の感覚です)
2歳頃から何歳でも
オススメ度 ★★★★★

 

 

2.あらすじ・内容

タイトルの通り、たくさんのものの中から自分の好きなものを選ぶ絵本です。

見開きごとに、のりもの、食べ物、家、服、なりたい職業、明日したい遊びなどのテーマが設定されており、たくさんの絵が描かれています。

そのたくさんの絵の中から、自分の好きなものを好きなだけ選んでいくのです。

 

3.楽しいだけじゃない!思考力を伸ばすパーフェクト絵本

この絵本は、子供が絵本を楽しむという要素と、思考力の育成という学習効果の両方を備えた、かなり優れた作品です。

 

思考力の育成


この絵本の最大の魅力は、絵本でありながら子供に「たくさん語らせる」ことができる点でしょう。

 

「言語活動」は、教育の現場では大変重要視される概念です。
言語活動とは、おおまかに言うと、「話す・聞く・書く・読む」活動です。
自分の考えを話したり書いたり、また他者の考えを聞いたり読んだりすることで、思考は深まります。
そして、またその思考を言語活動を通して深めていく…
思考力の育成と豊かな言語活動は、同時に行われていくものなのです。

 


また、私が教員として勤務していた頃、社会科の研究授業をした際に、指導に来てくださった講師の方が「子供に『だってね』をたくさん語らせてください」と言われたのが印象に残っています。
「だってね」は次に理由を述べる時に使う言葉。
それまでの学習を根拠に、論理的に語らせるような場面を作るということです。

 

この絵本では、自分の中にある理由を生き生きと子供に語らせることができます
もちろん、「論理的」とは言えません。
しかし、「選択」には何かしら理由があるのです。
子供に「何でそれにしたの?」と聞けば、「花柄が好きだから、このスカートがいい」「お城に住めば、家族みんなの部屋があるから」など、何かしら自分なりの理由を語らせることができます。
絵本は普通「受け止める」ものだと思います。
この絵本ほど、子供に生き生きと話をさせられるものはないでしょう。

 

とにかく楽しい!


上記では、言語活動などとお話しましたが、これほどたくさんの選択肢の中から、好きなものを好きなだけ選べる、というのはとにかく楽しいのです。
思えば、子供が自分で好きなものを好きなだけ選べる、という場面はなかなかありません。
それが許されるこの絵本に、とにかくワクワクできます。

 

想像力をかきたてる


さらに、子供の想像力をかきたてるのです。
私の娘は、「どの家に住みたい?」のページで、よくお城を選びます。
「一番上のここは自分の部屋で、下の2つの部屋はお父さんとお母さんの部屋で…」と語りだします。
自分の選択したもので、その先どうしたいか、何をしたいかといったことまで子供に想像させてくれるのです。

 

 

 

とにかく楽しい!
でもそれだけじゃない。
一人で読んでも、みんなで読んでも楽しい、まさにパーフェクト絵本です!

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。